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なぜマクレガーvsネイト2はドローではないのか?マクレガーネイト戦を通して観るルール改正後のUFC。

現地時間8/20に開催されたUFC202でのコナー・マクレガーvsネイト・ディアスの一戦。結果は判定2-0でマクレガーがネイトへのリベンジに成功しました。

しかしながら1、2Rでの圧倒的なスタンドでのパフォーマンスよりも3R以降の失速ぶりと、ネイト・ディアスのタフネスさの方が強い印象を残したというのが素直な感想。「完全復活!」ではなく「薄氷の勝利を掴んだ。」マクレガー。3R終了後のインターバルでの弱気な表情が今後のマクレガーを暗示していなければ良いですが…。

 

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Twitterではこのような意見も。たしかに。)

 

ところで5R終了時、素晴らしい試合に興奮する一方で私の頭にふとよぎる不安がありました。

 

「この試合はドローになってしまうのではないか?」

 

1、2Rは10-9でマクレガー。5Rは10-9でディアスで大方の人は納得でしょう。

4Rは微妙ですが効果的にボディーを攻め、ネイトを後退させてテイクダウンも防いだことでマクレガーでまあいいでしょう。

UFCのジャッジ3名もこの採点は共通でした。

 

問題は第3R。ネイトがとったことは間違いないですが果たしてこのラウンドは10-8ではないのか?

実際、UFCのジャッジのうち第3Rネイトに10-8をつけたジャッジは1名。(他2名は10-9)

 

焦点は3R4分過ぎのマクレガーをフェンスに釘付けにしてのネイトのラッシュがどのように評価されるか。マクレガーは防戦一方になったもののダウンはせず、フィニッシュ寸前という表現は当てはまらない感じがします。ですがもし仮にあのシーンがなかったとしても、何度もネイトのストレートを喰らい背中を向けて逃げるマクレガーがラウンドを落としていたのはほぼ確実。加えてあのダメ押しのラッシュで10-8の印象を自分の中では持ちました。

 

結局ジャッジの主観によって採点は決定するので、10-9でも10-8でもおかしくないラウンドで、たまたま10-9が2人いたということ。

特におかしな判定でもなく、私の頭によぎった不安も杞憂に終わりました。

 

ではもし仮に、この試合が2017年1月1日以降に行われていたとしたらどうなるか?

数日前にこのような発表がMMA界でありました。

 

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MMA IRONMANさんの記事によれば、

 

”10-8はジャッジがダメージ、ドミナンス(優位性)、デュレーション(持続時間)の3つのうち2つが存在したと評価した場合に考慮され、3つ全てが存在した場合は10-8を採点しなければいけない。

 ダメージは、選手が対戦相手に大きなダメージを与えた場合はラウンドでの優位性がなかったとしても評価しなくてはいけない。ダメージには腫れや裂傷といった視覚的なものも含まれる。打撃やグラップリングによってエネルギー、自信、能力、戦う姿勢を減退させたことも評価される。

 ドミナンスは、そのラウンドでの打撃戦で劣勢の選手が防戦一方となりカウンターやリアクションをできなくさせたことや、グラップリングで有利なポジションを取り、サブミッションなどでフィニッシュを仕掛けていることを指す。有利なポジションを取っただけではドミナンスと評価されない。

 デュレーションは、選手が対戦相手を効果的に攻撃やコントロールをし、ほとんど攻撃させなかった時間を指す。ジャッジはラウンド中にどちらが多くの時間を攻撃やコントロールしたかによってデュレーションを評価しなければならない。これはスタンドとグラウンドの両方に言える。”(MMA IRONMAN: 2017年1月1日から北米のMMA統一ルールが変更 文中より引用)

 

ちなみに10-7という採点も存在し、ジャッジが止めても良かったと判断するほどのダメージを持続的に負わせた場合、稀につけられる可能性もあるとのこと。

(クリス・ワイドマンvsルーク・ロックホールドでの第3Rなどがこれに当てはまるでしょうか)

 

マクレガーvsネイトの第3Rをルール改正後の視点で見ると、

ダメージ:○(ダウンは取れなかったものの背中を向けて逃げさせ、終了前の滅多打ちでエネルギー、自信を奪ったので)

ドミナンス:○(同じくラウンド終盤でマクレガーがフェンスに詰められ防戦一方となったため)

デュレーション:△(ディアスが打撃でラウンドを支配したが、全体で見ればマクレガーも攻撃は返していたので)

 

となります。あくまで私の主観ですが。

こうなれば3人中少なくとも2人は10-8をつけ試合がドローになることも十分考えられます。

 

つまりルール改正で選手が2P失わないために注意しなければならないことは

 

・いい打撃をもらってラウンドを落としたと感じても流さず手は出す。デュレーションを落とさないために。

・ボコられてる最中でもカウンターを狙う素振りを見せる(無理だろうけど…)。間違っても棒立ちにならない。

・試合中はポーカーフェイスを保つ。疲れた顔ややる気なさげな態度は印象ガタ落ち。

 

という感じでしょうか。

ネイトマクレガー戦のみを通して見ても、ルール改正が選手、試合結果に与える影響は大きそうです。

 

より一層、休むことの許されなくなる(かもしれない)ルール改正は2017年1月1日から執行予定です。